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内縁の妻の相続
Q:内縁の妻に私の財産を残してやりたいのです。何か方法はありませんか?
A:内縁の妻に財産を相続させる旨の遺言を残すことによって、内縁の妻に財産を残すことができます。ただし、法律はあくまで配偶者である妻の味方です。
Q 私には本妻の他に、内縁の妻がいます。生活を共にしているのは、内縁の妻です。本妻とはまだ離婚はしていませんが、生活を共にしていません。子供もおりません。私の生活の世話を見てくれる内縁の妻に、私の財産を残したいのです。
A 難しいですね。法律では、配偶者である奥様は常に貴方の相続人となり、貴方の財産を相続することができます。
ところが、内縁の妻は、法律的な婚姻関係にないのですから、貴方の相続人となることは出来ないのです。
Q そうは言っても、本妻とは離婚したと同様の状態なのですよ。籍こそ入れていませんが、内縁の妻を本妻のように思っています。
それにもかかわらず、「妻」という戸籍上の身分さえあれば、本妻は私の財産を相続する権利があるのですか?
A その通りです。誰が貴方の相続人になるかは、形式的に決めることが求められます。戸籍に「妻」と表示されていれば、いくら離婚したと同様の状態とはいえ、貴方の本妻は貴方の相続人であることが、形式的に決まってしまいます。
婚姻関係は戸籍を見れば証明することができますが、内縁関係となると、その関係を証明することが難しいですからね。
Q 内縁の妻は、とても不利な状況にあるのですね。それでは、彼女がとても不憫です。何とかして私の財産を残すことは出来ませんか?
A 本妻と離婚をして、内縁の奥様と再婚をすることが、最も確実な方法です。離婚をすれば、相続する権利はなくなります。
Q 私は離婚をしたいのですが、妻は離婚に同意しません。
A それでは、遺言を残すことにより、相続権がない内縁の奥様にも貴方の財産を残すことができます。
Q 早速、私の財産の全てを内縁の妻に残す旨の遺言を残すことにします。
A 貴方の財産の全てを貴方の内縁の奥様に残す旨の遺言を残すことはできます。
また、そのような遺言を残すことについて、貴方の本妻や内縁の奥様の同意は必要ありません。ただし、本妻は遺留分を主張することができます。
Q 本妻が遺留分を主張すると、どのようになるのでしょうか?
A 本妻は、貴方が遺言でどのような財産の処理をしようとも、貴方の財産の半分については、貴方の財産を相続する権利があるのです。
Q 具体的には、どのようになるのでしょうか?
A 例えば、貴方の総財産が1000万円だとしますね?その場合、貴方は1000万円全額を内縁の奥様に残す旨の遺言をしたとしても、本妻は1000万円の半分の500万円については、自分のものだと主張することができるのですよ。
Q 本妻を私の推定相続人から廃除すると、本妻は私の財産に対して遺留分を主張することは出来ませんよね?
A 確かに、本妻を貴方の推定相続人から廃除すると、本妻は遺留分を主張することさえできなくなりますから、内縁の奥様は貴方の財産を全て引き継ぐことができるようになります。
Q 本妻を私の推定相続人から廃除しようと思います。
A 推定相続人の廃除原因は、なかなか厳しいのですよ。
不貞行為や暴行・虐待などの結婚生活を維持し難い行為があったことが一応の基準にはなりますが、配偶者である本妻が貴方との結婚生活での貢献を無視しうるほど、廃除請求者である貴方が精神・財産的なダメージを受けていないと、推定相続人から廃除することはできないのですよ。
Q では、具体的にはどのようなケースだと、私の配偶者である本妻を推定相続人から廃除できるのでしょうか?
A 貴方名義の銀行口座から勝手に預金を引き落としたり、不動産の名義を無断変更するなどした場合です。
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